昨日オスカーが置いていった大量の酒を、オズはじっと見つめていた。
アリスは二日酔いでベッドから出てこない。
ギルバートは「従者だから」という理由で、頭痛に耐えながらオズの後ろで読書をしている。
今部屋にはオズとギルバートの二人しかいない。
「なぁギルー?」
「…なんだ」
「この青色のビンの奴おいしそーだよね」
オズが示したのは一番アルコール度数の強い酒で、大量に残っている。
「それは美味いが、かなり強いから…」
「マジ!?美味いの?じゃあ飲もーっと!」
ギルバートが言い終わらない内に、オズは酒に口を付けた。
「やめろ!それはお前にはキツすぎる!」
オズは口に酒を含んだまま後ろにさがり、ギルバートの口に酒を流し込んだ。
「…っ!?」
「本当だ、ギルの顔が一瞬で真っ赤になった。お前、ホントに酒弱いよなー!」
よし、もう一度と同じ事をしてきたオズにギルバートは 自分の顔がオズの顔の上に来るようにし酒を流し返す。
「なに、するんだよ…」
二人の口で温まった酒をオズがこくりと飲んでから、僅かに赤面して言った。
その言葉にはどこか色気があり、アルコールが入って少し瞳を潤ませ赤面し、口の端からは先ほど漏れた雫が垂れていた。
全てがギルバートを煽った。
が、なけなしの理性でそれを堪えオズをぎゅっと抱きしめた。
「ちょっとギル。苦し…」
「オズ」
ギルバートはオズの耳元でこう囁いた。
「貴方を愛しています。昔も今もずっと」

「あ、ギルの顔が真っ赤になってる。お前の顔今すっごく可愛い」
「は!?俺が可愛いだと!?お前酔ってるんじゃないのか?」
「あー酔ってるね、ギルに」
「馬鹿か!そういう言葉はあのバカウサギにでも言ってろ!ほらこれ以上変な発言しない為にも、さっさと水飲んで寝ろ!」
そう言ってギルバートは水の入ったビンをオズに渡した。
「俺はちょっとしか飲んでないよ。ほとんどギルにあげたんだから」
「じゃあ何でさっきから酔っ払い発言してるん…んんっ!?」
オズは背伸びしてギルバートの口を封じ、少し経ってから口を離した。
「ギルだからだよ。俺もギルが好きなんだ。言っとくけど、俺が想い人(おまえ)を手放すと思うなよ?」